遺伝子組み換え食品
遺伝子組み換えとは
あらゆる生物には細胞があり、その中に遺伝子があります。
遺伝子はDNAという化学物質より出来ており、生物の性質は遺伝子によって決まりますが、この遺伝子を人工的に操作し、変化させることを遺伝子組換えといい、それが農作物であれば遺伝子組み換え作物、その作物を利用した食品が遺伝子組み換え食品です。
世界の普及状況
現在、実用的に遺伝子組み換えが行われている作物は、大豆、とうもろこし、綿実、なたねが主体ですが、このほかにスクアッシュ(かぼちゃの1種)、パパイヤ、アルファルファ、てん菜、甘唐辛子でも行われています。
国別では米国が最も多く、次いでブラジル、アルゼンチンです。
更にインド、カナダ、中国、パラグアイが続いています。
世界の耕地面積では2009年には日本の全耕地面積の29倍の1億3400万haで遺伝子組み換え作物が栽培されています。
各作物の栽培面積全体に占める遺伝子組み換え作物の割合は大豆77%、綿実49%、とうもろこし26%、なたね21%となっています。
遺伝子組み換え作物の目的
現在最も多く栽培されているのは除草剤耐性の作物です。
ラウンドアップという除草剤を使用した場合、雑草は総て枯れるが作物の方は枯れないで成長します。
このほか害虫抵抗性のあるものもあります。
遺伝子組み換え作物のメリットは生産農家の負担軽減、単位面積当たりの収入増加、
農薬散布減少による環境への負担軽減、発展途上国の飢餓や食糧問題への対応、等が挙げられています。
日本の状況
日本では食品・飼料用に大豆やとうもろこしなどの栽培が承認されています。
しかし研究所レベルの栽培だけで、農家での遺伝子組み換え作物の栽培は行われていません。
しかし遺伝子組み換え食品・飼料の輸入は多く、安全性の確認された食品7種類、126品種(2010年7月5日現在)、飼料6種類、57品種(2010年6月1日現在)の流通が認められています。
安全性について
下記項目ごとに所管官庁が中心となって評価を行い審査され、問題ないものが承認されます。
- 生物多様性への影響がないこと
- 遺伝子が目的どおり働いているか
- 元の植物に比べ大きさや形に変化はないか
- 有害物質がないか
- 野外での生育状態や越冬性に変化はないか
- 交雑の程度が元の作物に比べ変化していないか
- 食品としての安全性に問題ないこと
- 元の作物はこれまで食されてきたか
- 組み込んだ遺伝子は何か
- 生成される蛋白質は人間に有害だったり、アレルギーを誘発しないか
- 予想外の有害物質はないか
- 栄養素等が大きく変化していないか
- 飼料としての安全性に問題ないこと
- 生成された蛋白質が家畜に有害でないか
- 生成された蛋白質や、家畜の体内で変化した蛋白質が畜産物を通して人間に害を及ぼさないか
遺伝子組み換え作物についての安全性については、推進派が有用性や安全性を訴える半面、依然として消費者の不安感が拭いきれていないのが現状といえます。
これについては、商品に表示を行うことで消費者の選択が出来るようになっていますが、いろいろ課題もあります。
情報が消費者に充分開示され、消費者の安全が確保されることが第一であると考えます。
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コラム執筆者の自己紹介
大谷丕古磨(オオタニヒコマ)が担当しています。
勿論、小金井市の住民で、現在小金井市の食育推進会議の委員(公募)です。
またボランティアですが、この食育ホームページの編集委員のメンバーでもあります。
私は食品会社に40年ほど在職し、現在は食品関連の技術士として行政当局や食品企業のお手伝いをしています。
特に食品の安全問題に関与して、講演や著作などの活動もしています。
食品安全委員会が発足して以来、5年間食品安全モニターを勤めたり、技術者の安全セミナーを主宰したりして、常に最新の食品安全の情報を把握するよう日々勉強しています。