食品添加物Q&A

食品添加物についてのQ&A
Q:本当にこんなに沢山の食品添加物が必要でしょうか。
A:確かに品目が多いのは事実です。
しかし食品が国際化され多様化する中で、消費者に食品の中身の実態が正確に知らされる必要があります。
避けなければならないのは無表示や偽装です。
何がどのくらい使われているかは消費者に正しく開示され、その上で選択は消費者にまかせるのが公平ではないかと思います。

Q:世界各国の食品添加物は日本と比較して、どのような状況でしょうか。
A:国により食品添加物の定義が統一されていないので認可されている数だけの比較では難しいといわれています。
日本で認可数は先月に示したように指定添加物403種、既存添加物418種、天然香料約600種、一般飲食物添加物約100種で合計すると1500種類前後の数字となり、決して少ない数字ではありません。
アメリカやEUの数字も品種や分類の方法は異なりますが日本と近い数字のようです。
問題は国により認可されていたりいなかったりの差異が多いことです。
現在政府間でハーモナイゼーション(共通化)の作業がされていますが進行は遅々としています。

Q:日本の食品添加物やその表示について改善すべきところはありませんか。
A:表示は極力詳細に行なわれるべきで、諸外国の商品も表示を見る限り、日本以上に細かく記載されています。
先月のコラムで説明した調味料や乳化剤、香料などでは細かな物質名を省略して一般名で表示が行なわれています。
詳細まで記載すると包材に書き切れない、物質名は難しくて理解できない、などが理由といいますが、文字が小さくなっても全ての添加物を物質名で記載するのが世界の表示の方向のようです。

Q:加工助剤、キャリオーバーは表示免除という言葉がありましたが、どんな意味でしょうか。
A:加工助剤とは食品の加工の段階で使用されても工程で完全に除去されるもの、例えば植物油の抽出にヘキサンという溶剤が使用されますが製品では完全に除去されています。
キャリオーバーは原材料から持ち越されてはいるが、量がごく少なく、添加物の機能を全く発揮していないものをいいます。

Q:添加物の2種以上が反応する複合汚染の心配はないのでしょうか。
A:複合汚染という言葉は有吉佐和子の小説から広まりました。
食品安全関係の学者の検討会の結論では内外の文献調査などを含めて論議した結果、複合汚染の心配はないとのことです。
最近飲料中の保存料である安息香酸とビタミンCが反応して発がん性のあるベンゼンが生成されることがわかりましたが、これも摂取レベルから見て問題ないとの発表がされています。

Q:最近は味覚障害が多いと聞きますが添加物との関係はありませんか。
A:“味がわからない”という味覚障害の人が年々増加しているといいます。
原因は亜鉛の不足と薬の副作用が多いといいます。
亜鉛はミネラル成分の一つで不足すると舌の味蕾の細胞の成長に障害が起こるのが原因といいます。
また全身の色々な病気や各種の医薬品で味覚障害が起こります。
ある種の食品添加物が亜鉛の吸収を阻害するのではないかという意見もあります。味覚障害の対策としては様々な食品をバランスよく摂取するのが最も有効といわれています。

Q:食品添加物は危険だという本をよく見かけますが。
A:食品添加物の安全性に関する書物は書店でも常時棚に10冊以上は見られます。
食品添加物は危険であるとする本はよく売れるようです。
例えば「食べてはいけない」は250万部、「食品の裏側」は65万部と聞いています。一方、食品添加物の正しい啓蒙書も出版されていますが、こちらは殆ど売れていないと聞きます。
必要なのは、食育の色々な場を通じ食品についての正しい知識を吸収し、偏った判断をしないことだと思います。
 
 

食の安全コラム 記事一覧

 

前回は「食品添加物の役割と安全性」を中心に解説しました。食品添加物は新聞やいろいろな出版物などでよく取り上げられ、しばしば食品に対する不安の対象の一つになっています。今回は食品添加物に関するいろいろな話題についてQ&A方式で取り上げて見ます。

コラム執筆者の自己紹介

食の安全コラム - 大谷丕古磨大谷丕古磨(オオタニヒコマ)が担当しています。
勿論、小金井市の住民で、現在小金井市の食育推進会議の委員(公募)です。
またボランティアですが、この食育ホームページの編集委員のメンバーでもあります。
私は食品会社に40年ほど在職し、現在は食品関連の技術士として行政当局や食品企業のお手伝いをしています。
特に食品の安全問題に関与して、講演や著作などの活動もしています。
食品安全委員会が発足して以来、5年間食品安全モニターを勤めたり、技術者の安全セミナーを主宰したりして、常に最新の食品安全の情報を把握するよう日々勉強しています。

 

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