食品添加物とその役割
最近は食生活の内容が大きく変化し、様々な加工食品が作られるようになり、食品の流通範囲も広くなりました。こうした状況に合わせていろいろな食品添加物が使用され、毎日の食生活を豊かにしたり、品質を保持するのに役立って来ました。しかし、一方では食品添加物の使用は出来るだけ控えようとする消費者の声も増えています。
1)食品添加物とは
食品衛生法第4条第2項に次のように定義されています。
「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう」
2)食品添加物使用の目的は
役 割 | どのような種類のものがあるか |
---|---|
食品の製造や加工のために必要 | 凝固剤、膨張剤、増粘剤、乳化剤など |
食品の風味や外観をよくする | 甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料など |
食品の保存性をよくする | 保存料、酸化防止剤、日持ち向上剤など |
食品の栄養成分を強化する | ビタミン、ミネラルなど |
例えば豆腐製造の場合に、豆乳を固めるために「にがり」を加えますが、この「にがり」が食品添加物(凝固剤)になります。
3)食品添加物の品目数は
法律では次のように分類されています。
(平成22年5月28日現在)
指定添加物 | 安全性と有効性を確認し国が使用を許可するもの | 403品目 |
---|---|---|
既存添加物 | 長年使用されて来た天然添加物で国が認めたもの | 418品目 |
天然香料 | 植物、動物を起源とする香料 | 約600品目 |
一般飲食物 添加物 |
通常は食品であるが添加物的な使用をされるもの | 約100品目 |
4)食品添加物の表示義務は
JAS法による規定
一括表示の原材料欄に食品原料と食品添加物とを区分して量の多い順に記載する。
食品衛生法による規定
使用した全ての食品添加物を「物質名」(名称、別名、簡略名、類別名も可)で食品に表示する。
但し例外として下記のように用途名併記、一般名の表示可、表示免除があります。
用途名併記 | 甘味料、着色料、保存料など |
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一般名表示 | イーストフード゙、ガムベース、調味料、香料、乳化剤など |
表示免除 | 加工助剤、キャリオーバー、小包装品(面積30平方センチメートル以下)、バラ売り |
5)食品添加物の安全性の確認は
食品衛生法で指定されていない食品添加物の使用は禁止されています。
先ず食品安全委員会で安全性の評価が行なわれます。
その結果を受けて厚生労働省、薬事・食品衛生審議会が安全性について審議して、使用してよいかどうかの判断を行ないます。
安全性試験は、繰り返し食べた影響(反復投与試験)、次世代への影響(催奇形性試験)発がん性試験、アレルギーの確認、生体機能への影響(薬理試験)体内動態資料、1日摂取量の資料などが必要となります。
次に実験動物に毒性の影響を与えない量(最大無毒性量)を求め、その数値から人が一日に食べても有害でない量、1日摂取許容量(ADI)を求めます。
動物試験で得られた最大無毒性量に安全係数1/100をかけた値を安全量とみなし、これを参考に、使用できる食品と使用できる量を決め使用基準を設定します。
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コラム執筆者の自己紹介
大谷丕古磨(オオタニヒコマ)が担当しています。
勿論、小金井市の住民で、現在小金井市の食育推進会議の委員(公募)です。
またボランティアですが、この食育ホームページの編集委員のメンバーでもあります。
私は食品会社に40年ほど在職し、現在は食品関連の技術士として行政当局や食品企業のお手伝いをしています。
特に食品の安全問題に関与して、講演や著作などの活動もしています。
食品安全委員会が発足して以来、5年間食品安全モニターを勤めたり、技術者の安全セミナーを主宰したりして、常に最新の食品安全の情報を把握するよう日々勉強しています。