口蹄疫について

口蹄疫(コーテイエキ)について
宮崎県で牛や豚の口蹄疫が猛威を振るったのはご承知と思います。今までは発生しても小規模で済んだので大きな話題にならなかった家畜の病気ですが、今回は被害も莫大で、、政治責任の論議も絡んで連日TVや新聞でニュースになりました。最近ようやく終息の見通しにあるようですが、予断は許せません。わかる範囲をQ&A方式で解説してみます。

Q:どんな病気ですか。
A:英語ではFoot and Mouth Disease(足と口の病気)、通称FMDと云います。
偶蹄類(豚、牛、水牛、山羊、羊、鹿、猪、カモシカなど蹄が二つある動物)やハリネズミ、象などが感染するウイルス性の急性伝染病です。
感染動物は発熱し、よだれを流し、口腔粘膜や蹄皮膚に水泡を生じるのが特徴です。
この病気は高い伝染性を持つので、感染した場合は他の家畜への感染を防ぐため、発生した飼育場の家畜全部はワクチン接種の上、殺処分され、地中深く埋められます。
伝染を防ぐためその地区の家畜の移動制限もかけられるので、畜産農家の経済的被害も莫大になります。

Q:どんな病気ですか。
A:農水省や安全委員会のホームページではヒトには感染しないと書かれていますが、厳密に云うと少し違うようです。

Q:ヒトの症状と注意事項は。
A:WHOの獣医公衆衛生局に長く勤められた藤倉孝夫先生の情報を参考にしました。
ヒトは口蹄疫ウイルスに極めて抵抗性があり感染はまれであり、感染した場合も症状を殆ど示さないとのことです。従って感染しないというのは必ずしも正しくありませんが、感染しても症状は極めて軽症のようです。

Q:感染した家畜の肉や牛乳を食べた場合は。
A:感染した家畜は殺処分されるので製品の流通はありませんが、万一肉や牛乳を摂食したとしてもヒトに感染することはないとのことです。

Q:世界の口蹄疫の状況は。
A:常時世界の各地で感染の情報があり、感染国は肉の輸出が禁止されます。
特に大規模な事例は2001年にイギリスで発生したもので、被害頭数が1100万頭、被害金額は3兆円を越したといわれます。
今回の宮崎県の事例については、現在までの処分家畜数は約27万頭に及び、英国の事例に次ぐ大規模な被害となります。

Q:なぜこのように蔓延してしまったのですか。
A:感染初期の迅速な対策が全てです。
例えば感染獣が即座に埋設処分されたかというと問題があったようです。
また豚に感染したのが感染の拡大を早めたという説があります。
また、ある大手の畜産業者が感染した事実を隠蔽したとか、この時期に感染国である韓国の畜産業者との交流が行なわれたとか、いろいろ云われていますが、原因はこれから確り追究されるべきものです。

いずれにしても、国や県の行政責任、畜産関係者の判断の甘さなど各方面の危機管理の不徹底さが蔓延を招いたものと思います。
 
 

食の安全コラム 記事一覧

 

今回も飛び入りですが、テレビや新聞で話題になっている口蹄疫(コーテイエキ)について解説を行ないます。

コラム執筆者の自己紹介

食の安全コラム - 大谷丕古磨大谷丕古磨(オオタニヒコマ)が担当しています。
勿論、小金井市の住民で、現在小金井市の食育推進会議の委員(公募)です。
またボランティアですが、この食育ホームページの編集委員のメンバーでもあります。
私は食品会社に40年ほど在職し、現在は食品関連の技術士として行政当局や食品企業のお手伝いをしています。
特に食品の安全問題に関与して、講演や著作などの活動もしています。
食品安全委員会が発足して以来、5年間食品安全モニターを勤めたり、技術者の安全セミナーを主宰したりして、常に最新の食品安全の情報を把握するよう日々勉強しています。