減塩が大切な理由は。
世界屈指の長寿国である我国、日本。その要因の一つは、一汁三菜を基本とし、旬の多様な食材を用いた栄養バランスに優れている和食にあると考えらえれています。しかしながら一方で、食塩の量が多いことが問題点として指摘されています。食塩を過剰に摂取すると、高血圧になります。高血圧が続くと動脈硬化か起こり、血管が脆くなるため脳卒中虚血性心疾患腎疾患といった生命に係わる重大疾患の発症リスクが高まります。我国において死亡者数が最も多いリスク要因は高血圧(2019年)であるとされています。その恐ろしい高血圧は、日本人の3人に一人が発症しており、その数は生活習慣病のなかでも最も多く4300万人にのぼります。この高血圧の発症予防や重症化予防で大変大切なのが食塩(ナトリウム)の摂取量を減らすこと、すなわち減塩なのです。

食塩はどのくらいまで食べても大丈夫なのか。
食塩の目標とする摂取量には、以下3種類の推奨値が提示されています。

① 日本人の食事摂取基準(2020年度版) 男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満
日本高血圧学会 6.0g/日未満
③ 世界保健機関(WHO)5g/日未満

高血圧の予防や治療に最もよいのは、実は一番少ない③であることが分かっています。ではなぜ①や②の推奨値があるのかというと、現状で食塩を10g/日程度摂取している日本人の目標としては難しすぎるという理由での妥協案なのです。

小金井市食育ホームページでは、志を少し高く持って日本高血圧学会が推奨する6.0g/日未満を目標としています。

減塩の効果はどれくらいあるのか。
大きな成果を挙げた英国の事例が有名です。国が加工食品中の食塩含有量を40%低減するという目標を設定しました。その目標達成に向けて、食品企業が共同して、パンやスープ等の代表的な加工食品について、1年間に約10%の減塩目標を決め段階的に食塩含有量を低減していきました。その結果、8年間で約15%の食塩摂取量の低減が確認され、先述の高血圧がリスクを高める脳卒中と虚血性心疾患の人口10万人当たりの死亡者数が8年で40%減少するという大きな成果が達成されました。(出典)He FJ, et al. BMJ Open. 2014;4(4):e004549.

国が企業を指導して減塩を行った英国とは事情が異なる我国では、食品成分表示の食塩相当量を活用し自衛する必要があります。日本高血圧学会が推奨する6.0g/日未満を目標にして日々達成できるように心がけましょう!


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